TS-808の回路解析①（電源部＆入力バッファ部）

はじめに

エフェクター回路の仕組みを学ぶために、代表的なオーバードライブ系エフェクターである「Ibanez TS-808」の回路を複数の記事にわたって解析していきます。

前置きとして、筆者は電子工学の専門ではなく、理解を深めるための勉強の一環として解析を行っています。そのため、内容に誤りが含まれる可能性があることをあらかじめご了承ください。
あくまで備忘録的な記事としてご覧いただければ幸いです。

インターネット上に転がっているTS-808の回路図を参考に、こちらの回路図を作成しました。

手元のブレッドボード上で試作したかったこともあり、回路の一部に変更を加えました。
元の回路と異なる点は以下の通りです：

9V電源の供給や分圧などを行う部分です。

電源として9Vのアルカリ乾電池を使用します。

極性の異なるACアダプターを接続した際に、回路を保護するためのダイオード。
今回の回路は乾電池のみを電源としますが、一応入れておきます。

電源が不安定な際に、貯めこんだ電荷を放出して電圧の変動を抑えます。
また、電源電圧に含まれるリップルノイズを除去します（デカップリングコンデンサ）。

バイアス電圧を得るための抵抗です。
10k:10k = 1:1の比率で電源電圧の9Vを分圧し、4.5Vのバイアス電圧を作ります。

C1と同様に、バイアス電圧の変動を抑えます。
また、バイアス電圧を供給する際に逆流してくる入力信号（交流成分）をGNDへ流します。

ON/OFF確認用のLEDです。

D2に流す電流を調整します。抵抗値はD2の仕様によります。

コレクタ接地（エミッタフォロワ）回路を用いて、インピーダンスの変換を行う部分です。

インプット用に6.3mmのステレオジャックを使用します。

プルダウン抵抗として追加しています。
これにより、シールドを抜き差しする際に発生するノイズを防ぐことができます。
入力インピーダンスを高く保つため、抵抗値が高いものを使用します。

ギターからの信号に含まれる直流成分を除去します（カップリングコンデンサ）。

トランジスタを予期しない過大電流から保護します。

Q1のバイアス電圧やベース電流を調整します。
回路の入力インピーダンスに大きく影響する抵抗となっています。

コレクタ接地回路におけるエミッタ抵抗として働きます。

信号からバイアス電圧を除去します（カップリングコンデンサ）。

今回は以上となります。

続き：準備中

記事を書くにあたり、入念に調査を行っておりますが、もし間違いなどありましたら、お問い合わせフォームからご連絡を頂けますと幸いです。