【BOSS GT-1】PREAMPでモデリングされている実在アンプを紹介(前編)

はじめに

BOSS GT-1のプリアンプ機能では、実在する定番アンプのサウンドをシミュレートすることができます。これにより、アンプ実機を用意しなくても、それぞれの特徴を手軽に再現することが可能です。

この記事では、GT-1でモデリングされている実在のアンプを一つずつご紹介します。
内容として、主観的なサウンド評価はなるべく避け、客観的なスペックを中心にまとめております。
サウンドに関して気になる方は、お手元でGT-1実機を起動いただくか、YouTubeなどで実際の音源をチェックしていただければと思います。

なお、GT-1に収録されている実在アンプの機種は15種類と多いため、記事を前後編に分けております。前編では、ヴィンテージ系を中心とした7機種のアンプを取り上げます。

アンプ紹介

Roland社製アンプ

Roland社は、1972年に設立された日本の楽器・音響メーカーです。
GT-1についている「BOSS」は、もともとRoland社のグループ会社でしたが、現在はRoland社に統合され、エフェクターなどのブランド名として使用されています。

JC-120

画像はRoland社の製品ページより引用

該当PREAMP TYPE: JC-120
JC-120は、1975年に発売されたギターアンプです。
JCは「Jazz Chorus」の略で、国内では通称「ジャズコ」とも呼ばれています。
いわゆる「ソリッドステート・アンプ」で、電気信号をトランジスタという電子部品で増幅しています。スピーカーは2×12インチ、出力は120W。
クセのないニュートラルなサウンドに定評があり、エフェクターの乗りもよいとされています。国内のスタジオやライブハウスでは定番の機材です。

Fender社製アンプ

Fender社は、1946年に設立されたアメリカの楽器・音響メーカーで、「ストラトキャスター」や「テレキャスター」などの有名なギターを手掛けてきたことで有名です。
アンプ分野においても広く認知されており、特にクリーントーンのサウンドで多くの支持を集めています。

Bassman

画像は現行品の’59 Bassman LTD(Fender社の製品ページより引用)

該当PREAMP TYPE: TWEED
Bassmanは、1950年代に発売された真空管アンプです。
当初はベース用アンプとして売り出されていましたが、ギターアンプとしても使えることが判明し、思わぬ人気を集めました。これを受けて、当時のFender社もすぐに兼用アンプへと方針転換したようです(参考)。
GT-1では4×10インチのスピーカーが搭載された出力40W程度のコンボタイプがモデリングされています。
プリセット名の「TWEED」はこの年代に製造されたFender社製アンプの通称から。ツイード風の素材がカバーとして使われていました。

Twin Reverb

画像は現行品の’65 Twin Reverb(Fender社の製品ページより引用)

該当PREAMP TYPE: CLEAN TWIN
Twin Reverbは、1960年代に発売された真空管アンプです。
「Twin」はモデル名を、「Reverb」はスプリング・リバーブ機構を搭載していることを示しています(後述のPro ReverbやDeluxe Reverbも同様)。
Fender社の代表的なギターアンプの一つで、そのクリーントーンは「フェンダーサウンド」として広く知られています。スピーカーは2×12インチ、出力は85W。
GT-1ではTwin Reverbや後述のPro Reverb, Deluxe Reverbはいずれも1960年中頃(Black Face期)の製品をモデリングしているようです。

Pro Reverb

画像は現行品の’68 Custom Pro Reverb(Fender社の製品ページより引用)

該当PREAMP TYPE: PR CRUNCH (PRO CRUNCH)
Pro Reverbも同じく1960年代に発売された真空管アンプです。
それまで販売されていた「Fender Pro」から大幅に改変された結果、Twin Reverbの弟機種のような位置づけとなりました。
スピーカーはTwin Reverbと同様に2×12インチですが、出力は40Wと低めです。このため、比較的歪みやすい傾向にあります。

Fender Deluxe Reverb

画像は現行品の’65 Deluxe Reverb(Fender社の製品ページより引用)

該当PREAMP TYPE: DxCRUNCH (DELUXE CRUNCH)
Deluxe Reverbも同じく1960年代に発売された真空管アンプです。
国内では「デラリバ」の愛称で親しまれています。
スピーカーは1×12インチ、出力は20W程度であり、上記のFender社製3機種と比べてややコンパクトな音が出力されます。

VOX社製アンプ

VOX社は、イギリスの楽器・音響メーカーで、1950年代からアンプの設計・生産を開始しました。
同社のアンプは、特にThe BeatlesやQUEENといったブリティッシュロックバンドの音作りに大きく貢献したことで知られています。

AC-30 TB

画像は現行品のAC30 Custom(VOX社の製品ページより引用)

該当PREAMP TYPE: VO DRIVE, VO LEAD
AC-30 TBは、1960年代に発売された真空管アンプです。
TBは「TOP BOOST」の略であり、トーン・コントロール用のトップ・ブースト回路が搭載されていることを意味します。PREAMP TYPEの「VO LEAD」はこれを有効化したチャンネルに接続した
際のアグレッシブなサウンドをモデリングしています。
スピーカーは2×12インチ、出力は30W。高音域を抑えるためのトーンカット・コントロールを有しており、GT-1ではPRESENCEの位置でこれを操作することができます。

Matchless社製アンプ

Matchless社は、1990年頃にアメリカで設立されたアンプメーカーです。
比較的新しいブランドですが、ハンドメイドの高品質アンプ(ブティック・アンプ)が高く評価され、一躍有名となりました。

DC-30

画像はMatchless社の製品ページより引用

該当PREAMP TYPE: MATCH DRV (MATCH DRIVE)
DC-30は、1990年頃に発売されたMatchless社初の真空管アンプです。
前述のVOX AC-30を参考にして開発されたと言われています。
スピーカーは2×12インチ、出力は30W。2種類のチャンネルを備えており、GT-1ではチャンネル1に入力した際の比較的クリーンなサウンドがモデリングされています。
VOX AC-30と同様にトーンカット・コントロールを有しており、GT-1ではPRESENCEの位置でこれを操作することができます。

終わりに

前編は以上となります。後編では残り8機種のアンプを紹介します。

【BOSS GT-1】PREAMPでモデリングされている実在アンプを紹介(後編)
はじめに前回の続きです。後編ではハイエンド系を中心とした8機種のアンプを紹介します。アンプ紹介Mesa/Boogie社製アンプMesa/Boogie社は、1969年にアメリカで設立されたアンプメーカーです。小さなリペアショップから始まりまし...

記事を書くにあたり、入念に調査を行っておりますが、もし間違いなどありましたら、お問い合わせフォームからご連絡を頂けますと幸いです。

参考

BOSS GT-1 パラメーター・ガイド / サウンド・リスト

・中野 豊「BOSS GT-1の教科書」(シンコー・ミュージック)

・ギター・マガジン「定番アンプ大図鑑」(リットーミュージック)

タイトルとURLをコピーしました